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2020.09.10

MEDIA

三菱商事ファッション「ザ・ミー」 フルアイテムをカスタムメイド 過剰供給を無在庫で解決

繊研新聞 2020年9月10日付

顧客の一人ひとりに合わせた服を〝店では買わない〟新しい購買形態で提供する「ザ・ミー」

 三菱商事ファッションは短納期・無在庫販売型のアパレルブランド「THE ME」(ザ・ミー)を20年春夏に立ち上げ、7月から東京・神宮前でショールーム形態のショップ運営を開始した。同社デジタル事業推進本部の前田真太郎新規事業部長兼LAB室長は「顧客の一人ひとりに合わせた服を、フルアイテムのカスタムメイドの仕組みで提供する。無駄な物を作らない、生産総量をコントロールできるサステイナブル(持続可能)なモデルを構築して、過剰供給などの業界の課題解決につなげたい。消費者にはサイズ問題を解決して、美しいシルエットを表現できるベネフィットを提供する」としている。(北川民夫)

消費者起点の生産

 ザ・ミーは最終消費者からの発注を起点とした〝カスタマー・トゥー・マニファクチャー〟(CtoM)のアパレルブランド。スーツからドレス、ニットトップ、Tシャツなどレディス及びメンズのフルアイテムを揃え、それぞれをカスタムメイドしてトータルコーディネートで提案する。キーカラーはネイビーとシルバー。ベーシックシンプルで上質感のあるデザインが特徴だ。商品型数は20年春夏でメンズ84型、レディス46型。ジャケットで40サイズ、パンツで15サイズなど。これらをベースにしながら、店内のボディースキャナーで計測した身体データを参考に、専門性の高い接客によって、丈や幅などの〝チューニング〟(寸法の調整)を行う。

 店舗面積はショールームが約70平方メートル。試着室となるカウンセリングルームが三つあり、15平方メートルと13平方メートルの他、ファミリー対応が可能なVIPルーム(25平方メートル)を設置。それぞれがゆったりとした空間となっている。そのうち2室にボディースキャナーがある。

 ザ・ミーの購入プロセスは、①ホームぺージで来店予約する②来店して試着室に設置されている3Dボディースキャナーで身体サイズデータを採取③身体データを基に、寸法の調整やコーディネートなどのアドバイスを行う〝ナビゲーター〟(店頭スタッフ)が接客③後日、オンラインで購入決定と支払い(店頭での支払いは発生しない)④サイズや寸法調整などの発注内容はオンラインで直接、国内外の協力工場へ送られ、生産を開始⑤発注から約2週間で自宅など顧客が指定する場所に商品を配送、というもの。

  3Dボディースキャナーで体のサイズデータを計測

オンラインで連携

 メンズジャケットは極細番手のスーパーウールを使用した国産トロピカルストライプ生地などを使用。シワになりにくく、ドライタッチな触感が特徴だ。スーパーウールの糸を、希少性の高いションヘル織機で丁寧に織り上げた生地を生かしたダブルジャケットもある。ドレスシャツは米国産スーピマコットンによる極細番手を使用。爽やかな印象のツイル柄でソフトな風合いと上品な光沢感が特徴の商品などを揃える。Tシャツはベルギー産プレミアムリネンを生かした上質な光沢感のある天じくの商品などがある。

 レディスはストライプテーラードジャケットでスーパー170ウールによる、しなやかな風合いとドレープ性、自然な光沢感のある商品を販売する。タックフレアワンピースはアセテートとポリエステルの合撚糸を使用したバックサテンジョーゼットを使用。弾力性や染色性に優れ、吸湿速乾、帯電防止など機能性も併せ持つ。立体的なカッティングで前後にタックドレープを入れることでオフィスや会食などに着用できる。

 価格帯はメンズでジャケットが3万円台後半から、パンツは1万7000円台~2万円台後半、シャツは1万6000円台から、ニットは1万7000円台から。レディスはワンピースが3万~4万円台、スカートやパンツなどボトムは2万~3万円台など。

 顧客からの商品発注に対して、国内及び中国の10カ所以上の協力縫製工場をオンラインで連携させながら生産する。「発注された製品の情報は全てウェブで連携して1枚ずつ生産する。各工場にとっても挑戦的な生産体制」を整えた。

 前田部長は「積み上げてきたクラフトマンシップの服作りと、現代のデジタル技術を重ね合わせて、生産プロセスを変えることで今までにない価値を生み出す」としている。

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