MITSUBISHI CORPORATION FASHION
2021.05.19
MEDIA
3D・CGで靴製作と仮想ショールーム 独自技術で精緻な表現3D・CGで靴製作と仮想ショールーム独自技術で精緻な表現
繊研新聞 2021 年 5 月 19 日付
三菱商事ファッション(MCF)は、3D・CGデジタルスキームを活用した靴製作とバーチャルショールームを相次いで打ち出した。同社の子会社で靴専業OEM(相手先ブランドによる生産)のライフギアコーポレーションと協業で、ラスト(靴型)起点の 3D・CGスキームを確立し、アパレルメーカー及び大手シューズメーカーとの取り組みを本格化している。
(北川民夫)
同スキームはMCFが得意とするデジタル技術と、靴作りの匠の技を融合して構築したもので①ラストスキャン②3Dモデリング(企画用)③簡易CG(展示会用)④EC用CG(販売用)--で構成する。3D・CGによる製作では、デジタルで靴に使用する素材選定を行い、ラストに沿ってアイレットやステッチ、靴ひも、アウトソールなどが 3Dを生かした奥行きのあるデザインで表現される。
これに光源調整によるレンダリングのオリジナルCG技術で陰影などを付ける。展示会向けとEC向けのCG加工を加えることで、より精緻(せいち)な表現を実現した。 これら製作データを利用した工場との生産連携の強化も可能だ。MCFは今後、靴製作の重要な工程であるラスト作りのCG化の研究を進める考えだ。
同社は、17 年に靴の 3Dモデリング開発をスタート。18 年にはライフギアコーポレーションの協力を得て、靴の製造工程を視察するなどしてデジタル化に向けた知見を得た。21 年 1月に靴の 3Dモデリングを習得し、CG連携の仕組みを自社内で整備、同年 4 月に今回のスキームのフローが整った。同社は、「靴製造はパターン数や付属品、工程数が多大にある。デジタル化に対するニーズは高く、市場拡大が期待できる」としている。
バーチャル(仮想)ショールームは、CAD(コンピューターによる設計)起点のデジタルツイン事業構想の一環。3Dモデリングデータを連携することで、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)を実現する。同社は仮想ショールームを 4 月から公開しており、店舗開発やVMD指示などでの活用を想定している。
ショールームでは、画面上の商品をクリックすると商品情報が開示される。ショールーム内のサイネージの動画もリアルに表現する。これらの機能を生かして、簡易CGデータによる仮想店舗を製作することも可能だ。
同社は「CADのパターンデータを使って、バーチャル空間のリアル感にこだわる。BtoB(企業間取引)やBtoC(企業対消費者取引)の双方で広く活用でき、今後も進化する」としている。
繊研プラス
https://senken.co.jp/